大学院合格しました。総合研究大学院大学物理科学研究科天文科学専攻と東京工業大学地球惑星科学専攻地球惑星科学科。いやー本当に合格できてよかったです。合格できなかったら9月から就活か本気で筑波山山中で野垂れ死にを考えるぐらい追い詰められてたので。
ここで合格したという完全に上の立場から来年院試を受ける後輩に自分がどう勉強したかやアドバイスなどをドヤ顔で書こうと思います。気持ちいいいいい。自分が勉強したことや院試での体験振り返ってから、最後にアドバイスでも書こうかな、と。アドバイスだけ読めばいいよ。
いつから勉強したか
院試を意識しだしたのは年明け(2012年入って)から。でも3月ぐらいまではなにもやってないです。ただ3月にTOEICを受けました。実はこれが後々に効いてくることに。3月の春休みに大学院入試問題集(後述)は買いました。でも本格的にやり始めたのは6月から。研究室の同期のやつが院試2ヶ月前にも関わらず、カナダに留学している彼女に会いにカナダ旅行したことで、これは絶対に負けられないと意識してから一気にスイッチが入ったのが大きかったです。あと7月頭に受けた筑波大の推薦落ちたことで本当にこれが背水の陣だと認識してさらにもう一段階スイッチ入って追い込めたのも。
どんな勉強したか
まず物理と数学について。サイエンス社の大学院入試問題集4冊を買い、
大学の図書館から借りた力学演習と研究室にあった詳解電磁気学演習と微積の演習の授業で使った演習書の計7冊を問題と解答をひたすらにノートに写すことをほぼ5周。+8月あたりから青木定雄 光学入門を少しかじる程度。
6月という2ヶ月前になってやっとスイッチ入ったので時間的に間に合わないだろうということで統計力学と量子力学はほぼ捨ててました。ただこれはある程度根拠のある博打で、まずそもそも総研大天文と東工大地惑においては物理の分野においては過去問を見る限り、ほぼと言っていいほど統計力学と量子力学は出ておらず、量子力学が出たとしてもトンネリング、ということで捨ててもいいと判断してました。その代わりに2大学とも光学の問題が出ることがあるので光学は演習大学院入試問題なり光学の本を読むなりして対策を立ててました。
あと、傾向的に今年はケプラー問題と電磁波が両方で出ると予想してそこ張ってました。結局張ってたのは当たってたんですけど、やり込みが足りなくて完答できなかったのが悔しいというか自分の勉強不足を実感することとなったわけですが。
あとまあはっきり言っちゃうんですが、問題は「解いて」ないです。解答を「覚える」ようにしました。これ高校のときの物理の教師、というか恩師なんですが、に大学受験の時に言われたことで、物理で点数取りたいだけならもう問題の出題パターン全部覚えろと(期末テストや理科大ぐらいまでの中堅までの話)。お前らのない脳みそひねったってその場で解けるわけがないんだから予め解答を覚えるしかない、しかも大学受験の物理の出題パターンなんて限られてるんだから、と。大学受験はACでさっさ受かっちゃったんでやらなかったんですが、院試では時間なかったんで理解とかすっ飛ばしてこれやりました。やり方としては問題を1回写すごとに一を書いて正の字を作るまでやれ、もしくはもう覚えたらチェックつけてもうその問題は二度と解くな、ってやつです。これでやりました
これで6月からのほぼ2ヶ月で大体30ページのノート20冊を仕上げました。↓の写真ね。
英語に関しては東工大はTOEICスコア提出だったので3月に受けたTOEICのスコア提出のみで100点取りました。730で100点換算のところ740で提出できたのでこれはでかかったです。物理と数学受ける前から500点中100点確保してるわけですから。総研大は英語があったわけですが、iknow!という昔smart.fmだったところに課金してひたすら単語覚えました。課金し始めたのはまあ2週間前だったけど、昔無料だったときにやりまくっててある程度単語を覚えてました。これ書いていいのかわかんないけど書いちゃうと、総研大の英語はnational geographicとnatureのコラムでの長文読解と読売新聞の金環日食時の記事の一部の英訳。
志望理由書など
これもしかしたらみんな舐めがちだけど、結構書くのに力入れました。やる気アピールみたいなもんなので、ここで差をつけないと実力ない僕はだめだ、とは思ってので。願書提出時に出すわけですが、願書提出始まる1週間前までに確か草稿から最終稿までなんども推敲してました。
筑波も含めて3つ出したわけですが、なぜ大学院に行きたいのか、なぜその分野に興味を持ち、研究をしたいのか、なぜその大学院に進学したいのかの3本柱を意識して全部書きました。まあACで入学したのでこういうの書くのは得意ってのも大きかったです。
僕はすばる観測実習なりそういう天文系のイベントに参加してたので、自分が大学院に進むためのストーリーというかそういう道筋みたいなのが話せるというのは強みでした。~に参加した→そこで研究の楽しさを知ったみたいなストーリーね。2年とかでまだ時間ある人はこういうイベントに参加しておくと後々困らないかもね。
面接とか
東工大のときは凵状に先生方が並んでて被告人席みたいな感じで座って志望した先生からの質問に答えるという形式でした。質問内容は筆記試験の結果はどうだったか、勉強はどのようにしたか、志望理由、博士課程に進む気はあるか、他に大学院受けているところは(任意)だったかと。
総研大は記者会見席というか自分1人前の席に座っていろんな先生からの質問を答えるという形式。質問内容は志望分野の志望理由、自分の長所、この分野は世界中で競り合ってるけど自分のオリジナリティというかアイディアはあるか、筆記試験の出来、クイズみたいななぞなぞ(答えられなかったら入学して半年学んだらわかると言われた)、志望指導教官がバッティングしてるけど教官を変える気はあるか、質問はあるか、他にどこの大学院を受けているか。
時間は東工大が大体10分ぐらい、総研大は15分ぐらいだったかと。当たり前かもですが、両方ともスーツで面接は受けました。東工大は内部っぽいやつは私服だったけど。東工大で内部のやつには「どんな質問が来ると思った?」という変わった質問も来たっぽいことが控え室で聞き耳立ててたら聞こえました。
あとこれ余談ですが、両方の面接で教員の人たち笑わせました。東工大のほうは「筆記試験の出来はどうでしたか」という質問に対しての答えの中で、「舐めてたわけじゃないですけど、もっと勉強すればよかったです」という答えの「舐めてた」の部分で先生方笑ってました。たぶん苦笑い。総研大は「他に受けている大学院を教えて下さい」ということに対して「東工大の地球惑星科学」と答えたら「筑波は受けなかったの?」と聞かれ、「東工大と日程かぶったんで受けられなかったんです」と答えたら、司会の先生が「あーじゃあこれ○○先生(志望した先生)の責任重大だ」って言ってみんな笑ってました。
勉強法のアドバイス
自分の物理の後輩と天文に進む後輩を念頭に置いて書きます。とりあえず現時点、院試まで1年から半年ぐらいまであるという状況を想定してます。ちなみに僕みたいな邪道じゃなくて正攻法でね。たぶん理想論。あと後悔したこととかも書くつもり。
まず何から勉強したらいいか、の前に当たり前ですが行きたいところの過去問を出来るだけ見ましょう。どこの分野からどんな問題が出ているか知るということがまず大事です。で実際に過去問が解けるかとまではいかなくても解法が思い浮かぶどうか。現時点で問題が半分以上解けるなら勉強する必要無いです。たぶん普段から勉強して実力ある人なので、院試2ヶ月前の6月とかから過去問解いて慣れて受ければ普通に筆記は受かるでしょう。で、まあ僕みたいに現時点全く解けないと。全部勉強しなきゃいけないという人に対して。
時間のかかる順と出題頻度を考えると物理志望なら統計力学、微積、線形、物理数学を先にやり始めるのが個人的なおすすめ。特に統計力学は僕自身が苦手だったってのもあるけど、物理学専攻というとこなら間違い無く統計力学出るので用意しましょう。得意ならいいんだけど。天文志望になるとまた話が若干変わってきて、統計力学量子力学の比率が落ちて力学が出る確率が上がります。
4年に上がるぐらいまでは自分の不得意で頻出の分野を優先しつつ、過去問で出てる分野の演習書や教科書を(理想でいうと)5周ぐらいして仕上げたい。まあ5周しなくても普段から勉強してる人なら2周ぐらいで大部分はカバーできるだろうけど、僕みたいにできない人は覚えるか完全に解けるまでね。で、演習書選ぶ時なんですが、もちろん過去問を見て同じような問題が載ってるやつを選ぶこと。あ、ただこれある程度まともに授業受けててやれば思い出すレベルからだから、本当にダメならまだ時間あるから入門書というか易しいの1冊先に仕上げたほうが後々楽かも。で、過去問や演習大学院問題集やるわけですが、これ上でアフィリンク貼っておいて言うのもなんですが、演習大学院入試問題は「買わない」ほうがいいです。あれはっきり言うと、誤植とか間違いが半端なく多いんで、理想は研究室とかに置いてある先輩の訂正が入っているお古をもらったほうが捗ると思います。
で、目標ですが院試1ヶ月前には過去問が解けるレベルを目指しましょう。それができればまあ上の勉強法なんか無視していいです。ちなみに僕は1ヶ月前でこれいけるんじゃね…?ぐらいでした。
書くの忘れてましたが英語ですね。これが実は厄介で英語って著作権の関係から過去問公開してないとこ多いんですよ。僕が受けた東工大地球惑星のように英語の試験なくてTOEICのスコア提出ってとこも(稀に)あるんで、12月、1月ぐらいにはTOEIC1回受けておいたほうがいいかな、と。社会系の英語力要求されるところでも800以上取れば100点換算されるので800目指しましょう。800は無理って人でも上で書いたようにnational geographicやnatureのコラム(もちろん英語)を読んでそれを理解できるレベルにはなりましょう。たぶんですが、ナショジオとnatureとあと普通の論文をスラスラと読めるんなら英語勉強する必要ないと思います。
あと地味にですが志望理由書。これ大事です。むしろこれ書いてる時点ではまだ就活始まってないんで今一度、「なぜ大学院に進むのか」「なぜこの分野の研究をしたいのか」について考えて答えを出してみましょう。ここをはっきりしておくと面接の時とかに詰まらなくて済むと思います。
院試勉強が辛いときに支えられた言葉とかプレッシャーとか心構え的なとかあと感想みたいな
「勉強量と不安は反比例する」
これは本当。すばる春の学校でM1の方から言われた言葉。やればやるだけ自信がつきます。不安なら手を動かして勉強しましょう。先にやり始めたもん勝ちです。
同期のライバルを想定する(できれば他大のやつ)、仮想敵を作る
同期で同じ分野進むだろうとわかってる人がいたら、もし自分が気を抜いているときにそいつが歯を食いしばって勉強してると思うと気が抜けません。あとそいつに抜かれたら非常に悔しいので。同じ大学のやつだとダメな部分も見えるんで、仮想敵を作るなら他の大学のやつにしましょう。
「院試受かったらお前ら後輩にドヤ顔で勉強法説教してやるよw」と後輩に宣言する
このビッグマウス効きます。実際にサークルの後輩に言いました。受かればまあまさに今このようにドヤ顔しまくりなんですが、これだけ言っといて万が一全部落ちて行き先なくなったら恥かくとかいうレベルじゃないわけですよ。落ちたら間違い無く向こう10年ぐらいは「昔さあ、ドヤ顔で後輩に院試受かったら説教してやるとか言いながら院試落ちた先輩がいるんだよwwww」って言われます。まあそれは必死で頑張れるわけ。とりあえず強気強気で言いまくって、自分にプレッシャー与えましょう。言霊じゃないですが、弱気厳禁で。これ勉強するモチベーション出ない人におすすめ。
「世界は「選ばれる人」と「選ばれない人」の2種類しかいない」「選ばれないことは、死ぬこと」
これピングドラム監督の幾原邦彦のブログにあった言葉(
http://www2.jrt.co.jp/cgi-bin3/ikuniweb/tomozo.cgi?no=417)で、基本的にはこれ思ってました。まさに負けたら、選ばれなかったら死ぬしかないという院試2ヶ月前あたりからは本気で思ってて、相当思いつめてました。
これで院試受かんなかったらスパっと就活するか(ブラック一直線)、冒頭に書いたように死ぬかと思いつめてました。院試浪人は全く考えてなかった、というかここで必死こいて勉強できないようならそこまでして大学院進む意味は無いと心の奥底では思ってるってことでしょ、ということと院試ごときで落ちるんなら大学院行っても研究できる才能がなかったんだな、ということを思ってました。まあ完全に背水の陣ですね。
あと、研究者になりたいとか受かりたいとかの願望はもう甘え。松坂大輔とかいろいろアスリートが言ってたと思うんですが、夢はかなわないと。やるんなら目標、絶対に自分はできるという強い意志が必要みたいな言葉。
はっきり言えば院試の勉強の辛さは今後の研究での辛さのデモンストレーションだと思ってます。自分を信じて努力できない人に新発見なんかできないでしょ。
最後に
まあここまで散々ドヤ顔で言ってたわけですが、いろいろと。実際受かると嬉しいんですが、それととともにここからが本当のスタートなんだな、と今思ってます。不遜ですが、自分の才能というものが本当にあるのか、それを大学院で確かめたいと思います。同じルート辿っためちゃくちゃできる先輩が6つほど上にいるんで、その先輩を目標にするとともに、自分が後輩たちの目標となりたいな、と思ってます。とにかく実力、実績で全てをねじ伏せられるような大学院生になるよう精進します。
追記(2013/09/11):
この記事のページビュー数が2万に届きそうで驚きました。あと、同期の後輩がなんかこのブログ読んで(それがきっかけかどうかは知らない)が受かってもし進学してきたら同じ部屋になるというのも驚きました。というか笑った。