2015年5月13日水曜日

映画「シンデレラ」の主役はシンデレラじゃなかったと思った

映画「シンデレラ」見ました(字幕)。先週見て書こうと思ってて忘れちゃいそうなので書きます。

シンデレラ、誰もが知っているストーリーでもはや陳腐化したものかと思ってたけど、違った。ストーリーはそのまんまなんだけどディテールがとてもよかったし、涙腺ゆるゆるおじさんと最近化しているので泣きました。特にキャラクターの内面が作りこまれてて、これまでのシンデレラのストーリーを上書きするような、魅力的なキャラクターで非常によかった。

で、見終わった後に思ったのは、今回の映画「シンデレラ」はシンデレラではなくstepmother(継母)が主役だったんじゃないかってこと。終盤にかけてからちょっとそう思ってたんだけど、クレジットの順番がstepmother, cinderellaで確信した。もちろんstepmother役のケイト・ブランシェットのほうが格上だからって理由かもしれないけど、やっぱり普通に考えたらシンデレラが主役の映画なんだからクレジットとしてはシンデレラが上でしょう。

じゃあなぜstepmotherが主役かと思ったのかというと、まあこれネタバレにもなっちゃうんだけど、シンデレラが舞踏会のお城から帰ってから、stepmotherがガラスの靴を見つけて、シンデレラに王子と結婚したら私たち(自分と娘)を登用しろと強請るもシンデレラは拒否、stepmotherがガラスの靴を砕いて、ついにシンデレラが怒るシーンでのセリフ。なぜ私にそんなにつらく当たるの?と聞くシンデレラに対するstepmotherの回答が、「あなたが若くて美しいから」というものだった。

ここでおおっ、となった。実はこのセリフの前にstepmotherが自分の半生についてシンデレラに語ってる。金持ちで幸せだったんだけど、夫が死んで娘二人を養ってどうにかしていかなきゃいけない。そこでシンデレラのお父さんと結婚したんだけど、「醜い」子どもがいてつらい。私たちの幸せはどうなってしまうのかと語っていた。

自分にはないものを持っているシンデレラに対するstepmotherの感情を考えると唸ってしまった。再婚した夫の愛がシンデレラに注がれ、"have courage and always be kine"、勇気と優しさを持ち続けなさいという母の教えを守るシンデレラの存在。一方で自分は幸せな生活を失ってしまった。もう若くもないし美しくもない。娘二人もどうにかしなきゃいけない。これから幸せになるであろうシンデレラにどれほど嫉妬しただろう。

でも実はそのstepmotherに対するものが、シンデレラに教えられた「勇気と優しさを持ちなさい」なんだと思う。どんなにつらい時でも、自分に対する勇気を持ち、他人に対する優しさを持つ。それが大切だと映画「シンデレラ」では語っている。

結局、シンデレラのストーリーなんだけど主題である「勇気と優しさを持つ」べきなのは誰なのかに対する答えは実はstepmotherなんじゃないのかと思うんだよね。

公式でも記事になっているけど、この継母の背後にあるストーリーを考えながら見ると非常に面白いと思う。
継母がシンデレラを憎む理由(ワケ) オスカー女優:ケイト・ブランシェットが圧巻の演技 初めて明かされる真実・・・!?

あと王子が魅力的なキャラクターになってたことについても語りたい。シンデレラのこれまでのよくあるストーリーだと王子が舞踏会でシンデレラに一目惚れしてそのためにガラスの靴に合う人を探すというものだった。

今回のシンデレラはそこが違う。まず王子は森で、継母のいじめに耐え切れなくなってちょっとだけ逃げたシンデレラに会い、そこで一目惚れする。そこで王子は王子と名乗らず、父親である国王から子供の頃に呼ばれたkitと名乗る。一方でシンデレラは名乗らずにそこでは別れる。国王と摂政からは小さいこの国を守り安泰にするために政略結婚をしろと言われていた王子。それでもシンデレラのことを忘れられず、探しだすために国民の慰安という名目で国全ての女を舞踏会に招待する。そこでシンデレラと再開し、その後はガラスの靴に合う人を探すという話だった。

この周りに政略結婚をしろと言われて反対されている中、シンデレラを探し出そうとするという行動が王子を魅力的なキャラクターにした。これまでのシンデレラだと、悪く言えば玉の輿で誑かされた金持ちだった。それが今回の王子は周りに反対されてもなおシンデレラにまた逢いたいと情熱的で、彼は自分を信じる「勇気」を持つ人間だった。結局国王も舞踏会で見たシンデレラを認めて、政略結婚なんか気にせずにその娘を探せと言って亡くなる。

ちゃんと「勇気と優しさ」を持ったシンデレラに対するカウンターパートに王子はなっていたんだなあと思う。

映像美も素晴らしかった。特にフェアリーゴッドマザーの魔法でシンデレラが青いドレスになるシーン。映像が美しかったことと、これまでのつらかった生活が報われたんだなあということで泣いてしまった。

映画「シンデレラ」、とてもよかった。満足度高い。「勇気と優しさを持ち続けなさい」。30代女子会で愚痴ってる層に対する説教のような映画な気もする。

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