2014年2月23日日曜日

雪ノ下雪乃は生徒会長になりたいわけではなかった

と、やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。8巻を読み直して思った。以下ネタバレ含む。


じゃあどうしたかったのかというと傷つきたかったのだと思う。
「ま、雪乃ちゃんはそれでいいかもね。あなたは、何もやらなくていいんだもの。いつも誰かがやってくれるんだもんね?」p194
陽乃のセリフ。 本人は否定しているけど、これがきっかけで生徒会長への立候補を決めたはず。じゃあなぜこのセリフが雪乃を動かすきっかけとなったかというと、それはこれまで依頼を解決するにあたっては八幡の犠牲(本人曰く最も効率のいい方法)を使ってきた。

ある意味、八幡に犠牲を押し付けてきた面があった。だから、今度は私が犠牲を払う番だと雪乃は思ったのだろう。けれども、八幡の解決策によって雪乃が犠牲を払う番は失われた。

今回、1人で抱え込むしかなかった雪乃に対して、八幡は
そう。こいつなら、迷惑をかけても心が痛まないし、ダメージを負う負わない以前に自然体で致命傷。生きながらにして取り返しがつかない男だ。ある意味、俺に最も近しい存在だ。p258
という材木座と
 ぼっちは人に迷惑をかけないように生きるのが信条だ。(略)だから誰も頼りにしないし、誰にも頼られない。ただひとつ例外があるとすれば、家族くらいなものか。家族にだけはどれだけ迷惑をかけてもいい。俺はどれだけ迷惑をかけられても構わない。(略)その関係は理由を必要としない。p241
という家族、妹の小町がいた。

迷惑をかけてもいい。かけられてもいい。それは二人の関係がそんなことじゃ壊れないとお互いに信頼しているということだ。雪乃は八幡との関係はそんな簡単には壊れない関係だと思っていた。今度は自分が傷つくことでその関係が、奉仕部が壊れないということを証明したかった。けれども、八幡は奉仕部という関係が壊れさせないために(小町の願いで)、みんなが傷つかない円満な解決策を選んだ。奉仕部の関係はそういうふうに傷つかないように扱わなくてはならない欺瞞の関係だと八幡が思っていたと雪乃は感じたことだろう。だから
「なら……、問題も、私が動く理由も、なくなったのね……」p332
と言った。本物を求めていた雪乃にとっては、奉仕部の他の二人はこの関係に本物を求めていないと言われたようなものだったのだろう。

雪ノ下雪乃は生徒会長になりたかったわけではなく、傷つき、奉仕部が本物だと確認したかったのだ。



以下、ピングドラム的な感想。
ふと気づいたけど、八幡と冠葉って似てるよなと思った。その方法しか手段がない、自分が自己犠牲するのは当たり前だと思ってるあたり。そして先生から「君のやり方では、本当に助けたい誰かに出会ったとき、助けることができないよ」が企鵝の会にのめり込んでいった冠葉に対するセリフに思えるんだよなあ。葉山は晶馬で由依が苹果、雪乃は真砂子かな。そうやって見ていくと面白いかもしれない。

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